年収600万円だと、どんな家が建つのか|総予算から坪数まで、数字を通しで追う
注文住宅営業7年の経験をもとに執筆(運営者について)
年収から「無理のない総予算」を出し、諸費用と土地を引いて、最後に建てられる建物の坪数まで。逆算の順番を1つの例で最後まで追います。
この記事の使い方
- 家づくりの数字は、年収 → 返済額 → 借入額 → 総予算 → 土地と建物 → 坪数 の順に逆算します
- 一つひとつの言葉は用語集にありますが、通しで追うと景色が変わります
- ここでは1つのモデルケースで最後まで計算します。あなたの答えではなく、順番を掴むための例として読んでください
- 前提が変われば結果も変わります。数字はすべて後半で動かしてみます
前提(この例の条件)
- 世帯年収600万円、35歳、返済期間35年
- 貯金600万円のうち、300万円を家に使う(残りは生活防衛資金として手元に残す)
- 金利1.0%、元利均等返済(元利均等返済の項参照)
- 他の借入(車・奨学金)なし
ステップ1: 「借りられる額」ではなく「返せる額」から始める
銀行は年収の30〜35%まで貸してくれることがありますが、そこまで借りると生活が苦しくなります。ゆとりを持つなら年収の20〜25%に抑えます(返済負担率の項参照)。
- 年収600万円 × 20% = 年間120万円 = 月10万円
- 金利1.0%・35年で月10万円を返す場合、借りられるのは 約3,500万円
ここで大事なのは順番です。「3,500万円借りられる」から始めるのではなく、「月10万円なら払える」から始めています。
ステップ2: 総予算を出す
- 借入 3,500万円 + 自己資金 300万円 = 総予算 3,800万円
この3,800万円が、土地・建物・諸費用・外構まで全部を含んだ上限です。「建物に3,800万円使える」ではない点が、最初につまずきやすいところです。
ステップ3: 先に「建物以外」を引く
総予算から、建物以外に必ずかかるお金を先に取り分けます。
3,800万 − 300万 − 250万 = 残り3,250万円。これが土地と建物に使える金額です。
ステップ4: 土地と建物に配分する
ここが地域差の一番大きいところです(土地と建物の予算配分の項参照)。この例では土地1,300万円の地域を想定します。
- 3,250万 − 土地1,300万 = 建物に2,000万円弱(約1,950万円)
ステップ5: 建物予算を坪数に直す
坪単価65万円の会社で建てるとすると、
- 1,950万円 ÷ 65万円 = 約30坪
30坪は4人家族なら十分に成立する広さです(延床30坪の家の項参照)。ここまでで「年収600万円 → 約30坪の家」という一本の線がつながりました。ただし坪単価は会社ごとに含む範囲が違うため、比較にはそのまま使えません(坪単価の項参照)。
前提を動かすと、どう変わるか
同じ年収でも、土地の価格が結果を大きく動かします。
- 土地が 1,800万円(都市部寄り)なら → 建物は約1,450万円 → 坪単価65万円で 約22坪
- 土地が 800万円(郊外・地方)なら → 建物は約2,450万円 → 約37坪
土地代が500万円動くだけで、建物の広さは7〜8坪変わります。土地を先に決めてしまうと、建物の選択肢がそこで決まってしまう——これが「土地と建物を一緒に考える」と言われる理由です。
金利も効きます。同じ月10万円でも、金利が2.0%なら借入額は約3,000万円まで下がります。金利上昇局面では、借入可能額そのものが縮む点は知っておいて損はありません(変動金利の項参照)。
この計算をしておくと、何が変わるか
住宅会社との打ち合わせは「どんな家を建てたいか」から始まりがちですが、先にこの逆算をしておくと、「うちは建物に約2,000万円」という前提を持って話に入れます。すると提案がその範囲で出てくるので、後から予算を大きく外す展開になりにくくなります。
そして自分の数字は、地域の土地相場・金利・年齢・自己資金でこの例とは変わります。マイホームスターターのシミュレーターは、まさにこのステップ1〜5をあなたの数字でなぞる作りになっています。
よくある質問
Q.年収の何倍まで借りるのが普通ですか?
A.年収倍率という指標では5〜7倍程度が多く見られますが、倍率は目安にすぎません。同じ年収でも、家族構成・車の有無・教育費の見込みで無理のない額は変わります。倍率より、毎月いくらなら払い続けられるかで考えるほうが実感に近くなります。
Q.頭金なしでも建てられますか?
A.借入だけで建てること自体は可能です。ただし借入額が増える分だけ毎月の返済と総利息が増えます。また諸費用は現金で用意する場面が多いため、まったく手元資金がない状態は避けたいところです。
Q.諸費用も住宅ローンに含められますか?
A.含められる商品もありますが、その分借入額が増えます。また引っ越し費用・家具家電はローン対象外のことが多いため、現金の準備は必要です。
Q.この計算どおりにいきますか?
A.いきません。地盤改良の要否は土地が決まるまで分からず、外構費も敷地条件で大きく振れます。だからこそ総額の5〜10%を予備費として取り分けておくと、想定外に慌てずに済みます。
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